パリ

建物や施設はほどんど外から見ただけなんで、内装とか中身までは全く見てないし、エッフェル塔さえも登ってない。美術館巡りをサラッと少し。
とにかく町歩きに時間をかけました。ゴハンはしっかり食べつつ。

パリの町は昔ながらの建物が多く残っているからそれ見てるだけで楽しいし、それに伴って由緒ある広場や聞いたことある公園も多くあってむしろずっと歩いていたい町でした。それに舗装やストリートファニチャー見るだけでも十分楽しめる自分にはちょうどいい(と言い聞かせて)
ちょっと気づいたことと合わせてつらつらと綴ります。

5日間で歩いたのは大体この範囲。
行く前のパリの知識は、オスマンのパリ大改造やフランス式庭園の構成とかを本で少し見たことあるくらいというところ。
勝手に東京都と同じような広さをイメージでいたけれども、どうやらパリの中心市街地20区は大体東京の中心部7区くらいと同等の面積らしい。
セーヌ川を中心とした100km2強のエリアに20区あり、各街区それぞれに伝統的な石造りの建物が建ち並んでいる。
日本のように碁盤の目ではなく、それぞれのランドマークから放射状に通りが伸びていて、それに沿って建物が建っている。
建物のつくりは伝統的なつくりが標準で、新旧あるものの大体同じようにつくられている。
特に観光の中心地あたりはアートの世界。歴史的な建築多し。彫刻が施されているものも多く、屋根なども立派。
フランス人のアイデンティティは建物とその屋根と聞いたりもするけどほんとそんな感じ。
100年単位で残っているものが多そうな印象。

日本とは事情が違うとはいえ、ここまで残って町並みが整っているのに衝撃。
日本はやはり最近つくったもの・改修したものが多いとハッとさせられたり、これはどうやっても質の差を感じてしまうよなと思ったり。
一方で、ゴミは多いわ、ハトや馬のフンも落ちていたりと、衛生的ではない部分も。でもそれもあまり気にならないくらい町並みがきれい。

建物の密度が高いながらも、視線が抜ける場所が多い。遠くが見えるのは気持ちいい、本場のヴィスタ(通景)を体感できた。
ヴェルサイユ庭園のような、いわゆるといったところは見ていないけど、凱旋門から走る通りなどランドマーク的なスポットやチュイルリー庭園のしつらえなどでお目にかかれたり。建物や街路樹の高さも統一感があって、より一層パースも効いて見える。
政治的な発想なのか、観光や景観的な発想なのか、フランスの都市計画の思想をちゃんと知りたくなったり。
緑
ヨーロッパの旧市街は建物が連続している分、緑が少ないなんて話をよく聞いていたんで、パリもそんなイメージでいたのに、思っていたより緑というか高木が多い。
足下の緑はあまり多くないような気もするけど、背の高い樹木が多く、そのおかげで緑量は感じるし、木陰も多い。
日本のように落ち葉を気にしてブツブツな剪定を多く行っている印象もなく、樹形もきれい。
大きな木を大事にしている感じ。街路樹も多い。
というか、街区の構造として、それぞれの街区の入口や角地にまとまった高木群が必ずある。それに伴って広場やオープンカフェがあったりして、
地元の人たちのたまり場になっていたり。
その他
電線は埋設で、空はスッキリ。
信号や標識は人の目線の高さにあることがほとんど。歩いていると気になる気もするけど、数が少なめなのか日本ほどうるさく感じない。日本人からしたら不親切なのかもしれないけど、景観的にはよいのか、引いてみるとほとんど気にならない。日本のように頭上や路上や飛び出していないのがよいのかもしれない。背の高いものは、町を照らす街灯と木陰をつくる街路樹と整理されているかのよう。

加えて、それぞれの工作物がシンプルで色の使い方もなるべく馴染むようになっている気が。
側溝なんかも石畳と合わせてつくっていてシンプル。カラフルなデザインマンホールのようなものは一切無い。

舗装は石畳が多い。古くからずっと残っているんだろうなという感じ。
でもこれは旧市街の特に観光地一帯の話で、それ以外はほとんどがアスファルトか土。
来る前からずっと考えていたけど、やっぱりこれでいいんだ。日本では舗装に関しても、新建材が多いから、ガチャつくんだなと改めて思わされたり。
かつ、広告や看板は最低限。
路面店の入口まわりに様々なサインはあるけど、建物上部や建物一面の看板はない。各お店の小さい手作りサインはあるけど、のぼりやギラギラしたサインもない。
聞いたわけではないけど、広告や看板に対する意識が確実に違う。
日本は視認性を重視してか、コントラスト強い色使いに、案内の仕方が丁寧すぎて表示もシャープで、親切という意味ではよくもあり、シーンづくりの意味では悪くもあると改めて。

壁の色は素材がほぼ同じなのか同系色。屋根はけっこうな色種があるなぁと思いながらも、トーンを抑えめにしているからか、派手めな印象はほとんどない。なので全体として、色数抑えめに感じる。このあたりのベース色も市民で共通意識があるかのよう。
ところどころ、差異をつくろうとしている店舗なんかありながらも、目立っているところが逆におかしく感じる。
このあたりの感覚も日本と全く違うかというところ。
外での過ごし方
なんといっても外での過ごし方が違う。
気候の違いか文化の違いかフランスでは外でのんびりしたり、ゴハン食べたりするのが当たり前のよう。人と人との距離も近い。
追いかけるように日本でもウォーカブルな町にしようとかしているけど、日本ではそうはなかなかならないんじゃないかと思うくらい。
たとえ心持ちがそうなったとしても、40度超えるような夏では外にずっといられないし、外にある程度の時間滞在できる物理的な仕組みが必要だし、パリはそこまでの気候ではないけどすでにしているというか。
「外に人がいる」、「人が多く歩いている」というのはやはり町に出る動機になるというか、地方の活性化においても重要な観点ではないかと思ったりも。
ルーブル美術館では建物が文化財でありながらラフな使われ方。
建物から高さ4〜50cmのへりに腰掛けていたり寝転んでいたり、あたかも公園のように使われている。日本ではこう使われていたら注意でもされそうなくらい。こういったあたりでもパブリックマインド味を感じたり。
この"へり"はもともとあったのか、ベンチとしてつくられたのかも気になるところ。
もともとの気候や文化に相まって、コロナのロックダウンを経て、屋外の過ごし方も変わってきているそう。
ちょうど行くときに読んだ本で知ったのが、フランスではコロナ前後を機に15-minute city(15分都市構想)という地域づくりが進んでいるよう。
車を町から減らし、歩行者優先の歩きやすい街をつくるというもので、自転車や電動キックボードが溢れるという課題もありながらも結構明確(強引)に進めているようで爽快。

自転車道の拡幅整備に伴い、車道の幅を狭くした名残なんかも見えて、明らかに歩行者・自転車を優先にしているのが明確。
自転車乗りに加えて、電動キックボード乗りも増え、マナーの悪さが課題とか。
でも、日本のように歩道を走る人はほとんどいないためか、慣れたら日本より走りやすい気も。おかげでレンタサイクル乗るのもそんなに緊張せず。むしろ、フランスの政策ははっきりしていて気持ちいいなぁ。と思ったり。

というような感じで、めいっぱい歩いて改めてものを考えさせられました。
日本以外知らないもんだから、日本のことを客観視したり比較できないのが気になってたこともあり、ほんと行ってよかった。
いろいろ書き足りない・話し足りないので、知ってる方はよかったら話に付き合ってくださいな。
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