石積み学校への参加

去年、徳島に行った時に話を聞いてからずっと参加したいと思ってた、
「石積み学校」が関東で初めて行われるというので、早速参加してみました。

山梨県の富士川町の平林地区という山間部の集落で行われた今回の石積み学校はヤマテラスという農家民宿の石積みが崩れたのでその補修とのこと。
その次の回は東京で開催とあるけど、多摩の石積みは仕事で触れたことがあったんで、訪れたことのない山梨の方に参加することに。
先週に引き続き、あずさに乗るも満席。どうやら土曜の早朝の長野方面行きは毎度混雑の模様。
これから2日渡って石を積み続けるというのに、普段運動もろくにしてない自分が域から体力使っちゃって、役に立てるだろうかなんて不安を抱えつつも、そんなこんなで3時間後に富士川町に着きました。

平林地区は平野部からガンガン登って行って、標高700mくらいのところにある集落で、集落の入り口辺りから昔ながらの石積みが見えてくる。
斜面地の棚田と民家と開けた空をもうちょっと感じたいながらも、自己紹介を済ませ、さっそく作業へ。

中途半端に崩れた石積みをもう崩れないというところまで崩すところから始まるんだけど、宅地の石積みであるせいか、普段行われる徳島の石積みより石がだいぶ大きいとのこと(φ300〜500mm)。さらに建物際なんで、崩すのにも注意して慎重に進める。

崩した後は石を積むスペースと裏に込める、ぐり石分のスペース確保のため土の掘り取り。
根石を入れるための床掘と、ひたすら土作業。
崩れた石も足場を悪くして、高さが2mもあるともう大変。
午前中いっぱいかかって根石の設置までなんとか進む。
足元を転圧して、転がっている中でも一番大きいクラスの石を根石として据える。
砕石の基礎なんかはありません。


崩れた石積み

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根石の設置

ここからは大きい石から積んでは、ぐり石を裏に込めるの繰り返し。

最初は終わりが全く見えなかったのに、2日目からの何かをつかんだみんなの勢いとチームワークによって昼過ぎに完成。


面を探って積む

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足場を設けて積む

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石積み完了


作ったばかりというのに趣あり

そんなわけで自分にとっては初めての伝統工法体験となりました。
石積み学校の金子さんと富士川町の区長さんとじろうさん、この機会をこんな形にしてくださったヤマテラスの上鶴さんに本当に感謝です。

伝統工法の凄さは所々で驚かされたものの、この技術はどこの農家も当たり前のように持っていたとのこと。今でいうコンクリートブロック積みと同じ位置付けと思うと不思議なもんで、身近に感じるけど、本来そういうものと実感できました。

今でいう伝統工法も当時は伝統でもなんでもなく、生活に必須の技術だった分、代わりのものが出てくると廃れるというのはある意味その通りなのかもしれないなとも思わされて複雑にもなったもんですが、
自然との共生を重視したお百姓さんのランドスケープである里山の風景はきっちり伝承してバッチリ残していかないとと改めて思わされた2日間になりました。
で、それを参加者の皆さんと共有できたことが本当にいい体験になりました。これは現状の日本のランドスケープの現場ではなかなか味わえそうにありません。切ないねぇ。

できた石積みを見た方が「ここを名所にしよう!」という動きがさっそく起こってると聞いたけど、そうでなく当たり前の風景にできればというのが一応景観分野に関わる自分の願いではあるのかな、とそんなことを思ったり。


富士川町の平林地区


昔ながらの石積みがちらほらと


農家民宿のヤマテラス

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